貸衣装の始まりとは
貸衣装が日本の歴史上いつから始まったのかは定かではありません。
明治に入り、西洋文化が取り入れられるようになった頃から、着物を手放す人が多くなり、呉服屋が新事業として着物を貸し出す事業を始めたことが貸衣装の始まりという人もいます。
また、着物を日常的に着ていた時代では、婚礼衣裳なども自分たちで作っていました。
しかし、家計が苦しくなると、質屋に着物を持ち込み、お金と変えるという習慣が根付いていたようです。
1960年代までは、質入れは庶民の金融の主流でした。
質屋はその着物と交換したお金を返してもらえなかった場合、質流れ品として呉服屋に売り、呉服屋は古着として安く着物を販売するという流れができていたようです。
しかし、洋服を着る女性が増えてくると、呉服屋は今までのように着物を売ることができなくなりました。
着物が日常着ではなく、特別の日の晴れ着としてとらえられるようになると、ますます呉服屋の経営は苦しくなります。
そこで、着物を貸し出すということを考えつき、江戸の呉服屋とも大阪の呉服屋ともいわれ諸説ありますが、貸衣装が一般に普及したと考えられています。
呉服屋を廃業して貸衣装一本に転換したお店も多かったと聞きます。
日本の住宅事情も変わり、嫁入り道具に着物や和ダンスを持って結婚するという女性も減ってきました。
現在では和ダンスのある若い世代の家庭はほとんど見られません。
しかし、結婚式や葬儀、観劇などに着物は未だ欠かせない衣裳として根付いています。
また、ウェディングドレスが結婚式の主流となった頃、貸衣装店ではウェディングドレスや各種パーティードレスの貸衣装も始めました。
これがことの他好評で、ウェディングドレスに憧れる若い女性に大人気となり、ウェディングドレスは貸衣装店でレンタルするという常識ができあがったのです。
今では子供の衣裳からコスチュームと呼ばれる少し変わった衣裳まで、様々な衣裳を取り扱うようになりました。